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第43回 (平成17年9月号)

会社の車で通勤、
駐車違反の罰金支払と駐車場代負担は労働者だけのもの!?

SRアップ21北海道(会長:安藤 壽建)

相談内容

Q社の営業社員には一人一台ずつ車が与えられ、その車にはQ社のさまざまな商品が積み込まれています。営業社員は月2回の営業会議と商品に不足がない限りは会社に立ち寄ることもないため、ほとんど直行・直帰の状態です。会社に駐車場はありますが、自宅については、駐車場を確保している者と路上駐車している者があり、前者の場合は“毎月のノルマをほぼ達成している”場合に、社長の判断で駐車場代を手当として支給しています。
これまでに何人かの社員が駐車違反で摘発されたり、近所の住民から会社に苦情が入ったり、警察から指導を受けたりしたことがありましたが、そう大きな問題には発展しませんでした。
ある日、営業のU社員から電話がかかってきました。「今警察です。駐車違反やっちゃったと思ったら、青空駐車違反と言われて、さんざん事情聴取されたのに、この後裁判所に行けというんですよ…、違反金も裁判所が決めるらしいと…」と今にも泣きそうな感じです。すぐさまこのことが社長に伝えられましたが、「自分のせいだろ!今日は欠勤ということだな、有給の事後申請は認めないからな」と総務部長に言い捨てました。総務部長は、言葉を選びながらU社員に社長の結論を伝えると、「そうですか、会社がそうしろと言うからその通りやっていたのに…、警察でも裁判所でもそのように言いますからね」ガシャっと電話が切れました。

相談事業所 Q社の概要

創業
昭和45年

社員数
38名(パート 11名)

業種
工事用各種器具・部品の販売業

経営者像

郊外に店舗を構えるQ社の社長は、デリバリー販売に力を注いでいます。“顧客ニーズに迅速に応える”をモットーとして、営業社員には厳しいノルマを与え、できる社員は優遇し、できない社員には退職やむなし!といった方針で労務管理を行っています。


トラブル発生の背景

確かに駐車違反は個人の責任でしょうが、車を与えた会社の責任やこれまでの経緯からすると、社長の対応はあまりにも突き放し過ぎてしまったのではないでしょうか。
社員が社有車両を持ち帰るにあたり、会社の管理や指導は一切なかったようです。
Q社のような労働環境の中で、営業社員は会社への帰属意識があったのでしょうか、今後の労務管理しだいによってはその他の事件も発生しそうなQ社です。

経営者の反応

「車両放置で罰金4万円だよ」たまたま次の日が営業会議の日でしたので、全営業社員の前でU社員が大声で嘆いています。そのとき社長が現れ「自己責任の問題だ。いやなら辞めればいい」と言ったものですから、U社員も完全に切れてしまいました。「裁判所も警察に連絡して、いずれ社長から事情を聴くと言っていましたよ。あぁそうですか、解雇ですね。それではこれから監督署に相談に行きますよ。僕が頑張れば、残ったみんなの待遇が良くなるかもしれませんからね…」と言い捨てると会議室を出ていきました。
「辞めたい奴は辞めればいいんだ。何も後ろめたいことはしていない」と言うと何事もなかったように営業会議を始めました。
困ったのは総務部長です。「すべての後始末は自分が背負うことになる」と思うと寒気がしました。慌ててU社員に「話し合おう」と電話して、SRネットメンバーである税理士事務所に駆け込みました。

  • 弁護士からのアドバイス
  • 社労士からのアドバイス
  • 税理士からのアドバイス
  • ファイナンシャルプランナーからのアドバイス

弁護士からのアドバイス(執筆:木下 尊氏)

道路交通法では,車両の使用者は,当該車両の運転者に車両の駐車に関し,法律に定める事項を遵守させるとともに,当該車両を適正に駐車する場所を確保するなどの必要な措置を講じるよう務めなければならない,と定められています(同法第74条第3項)。
この義務違反については,現在のところ罰則規定はありませんが,企業に対する法的責任という観点からは,社有車両について適正な駐車場所を確保すべき義務があるといえます。

一方,民法では,社有車両を社員が私用のため運転中に生じた事故についても,いわゆる外形理論によって「事業ノ執行ニツキ」(同法第715条)生じたものとして,会社に使用者責任が認められていますので(最高裁昭和39年2月4日判決),放置車両が原因となって何らかの事故が発生した場合(例えば,災害時の逃げ遅れなど)には,被害者から企業が損害賠償責任を追及される可能性も否定できません。

また,実際には社員が運転している社有車両が、ほとんど会社の営業のために使用されているという実態があれば,社員が負担している駐車場代は社員が会社に立て替えて支払っていると見る余地もあります。さらに,会社と社員との間で,ノルマを達成しない場合には駐車場代は社員が負担する旨の合意があったとしても,この合意自体が公序良俗に反するものとして無効となり(民法第90条)、後日,社員から会社に対して不当利得として駐車場代相当額の返還を求められることも考えられます。
いずれにしても,法的に見れば,社有車両である限り,その管理責任を含めて社員の自己責任だけで片付く問題でないことは確かです。

Q社社長には、以上のポイントを十分に理解されたうえで、本件の解決と今後の対策について社会保険労務士の指導を受けるように進言しました。

社会保険労務士からのアドバイス(執筆:菅田 真紀子)

会社が、顧客のニーズに迅速に応えることは、業績向上のために不可欠な要素です。
しかし、業績の向上とは、顧客のニーズに応える一面のみ追うだけで達成できるでしょうか。会社と顧客の間には社員がいます。その重要な役割を担う立場をないがしろにして、顧客に正確な企業理念の伝達は不可能と考えます。よって、顧客満足の実現を目指すと共に、社員満足の実現も併せて考えていかなければ、目標達成までの道程は遠くなるでしょう。そのためには先ず、労働環境の基盤整備が最優先課題です。社員満足の実現により、社員のQ社に対する帰属意識が自然に醸成され、その結果が顧客満足へつながり、業績向上というサイクルができるのだと思います。

さて、本件がここまで発展してしまった経緯の中で、会社および社員の主張を整理してみましょう。
【会社の主張】
(1) 社用車に対する社員の車両管理の甘さ。
【社員の主張】
(1) 会社から社用車の取り扱いに関する明確な基準が提示されていないにも関わらず、青空駐車摘発により裁判所から罰金を課されたこと。
(2) 事後の冷酷な経営者の態度。

以下、お互いの主張の中から社有車に対する取り扱いと本件の解決策をまとめてみます。

1.社用車の取り扱いについて
社用車の管理は、様々な場面を想定した事故のリスク管理が望まれるため、社用車を管理する責任者の悩みは多く、そして尽きないものです。
なぜならば、マイカーを使用した通勤途上での事故であっても会社の責任が免れないこともあり、まして社用車となれば会社に対する責任の追求はより一層厳しくなるからです。
未然の事故を防止するために自動車、特に社用車の使用と管理に関して社内で行うべきことは、次のことが効果的と考えます。
(1) 社用車管理規程の作成と安全運転に関する教育を繰り返し実施すること
(2) 社用車の私的利用を許可された社員に対する事故防止の呼びかけをミーティングや朝礼等で繰り返し行い、また社内報や社内メールを通じて社用車を安全に使用する呼びかけを行うなど日頃のコミュニケーションを通じて再三、社員の注意を喚起すること

社用車管理規程の作成上の主に留意すべきポイント
1)社用車管理部門の明確化
社用車を一元的に管理する部門を明確化しておきます。
その部門では、鍵の保管、社用車の自動車保険の付保状況および自動車税の納付状況の管理、5台以上の自家用自動車を保有する場合は、安全運転管理者の選任、さらに事故が起きた際の対応を行うなどその部門での役割を明確にします。

2)社用車運転資格者の明確化
例えば、社用車を使用できる社員の職種は外勤業務、さらに交通法規を遵守して安全運転ができる者など社用車の使用は会社が許可した社員とします。

3)社用車運転資格者の遵守事項と禁止事項
【遵守事項】
(1)交通ルールの遵守
ア)社用車運転前の確認
近年、道路交通法の改正が相次いでいます。軽微な不注意から大惨事につながったケースなども有り、社用車を運転する社員に対する道路交通法を遵守するという意識の醸成は企業の責任といっても過言ではありません。
よって、運転前の確認事項では、シートベルトの着用、運転免許証の携帯、前日の飲酒状況および疲労度合などを確認し、特に前日深酒をしたり、不摂生な生活で睡眠不足というような状況であれば社用車の運転を禁止する運転前の確認措置が必要です。
【禁止事項】
ア)飲酒運転
自動車を運転する際には飲酒運転は厳禁です。平成13年刑法に「危険運転致死傷罪」(刑法208条の2)が新設、道路交通法(以下、道交法という)では、平成14年飲酒運転に対する罰則が強化され、さらに平成16年飲酒検知拒否に対する罰則が引き上げられるなど、飲酒運転に対する取締りの強化が相次いで行われました。これは、飲酒運転によって引き起こされる事故が見過ごすことができないものとして切実に受け止められた当然の帰結です。会社でも罰則を意識した教育のみならず、飲酒運転によって引き起こされる悲劇的な事故の結末を盛り込んだ教育が必要です。
イ)運転中の心身疲労の回復
労働時間の把握とも関連がありますが、社用車の運転が長時間連続する場合は、適宜休憩をとり、心身の疲労を回復するようにしましょう。
特に、労働時間の算定が困難で、かつ会社の指揮命令がおよばない外勤社員について「みなし労働時間制」の制度を導入している会社は、休憩時間の取得にも気を配り、心身疲労の回復を呼びかけましょう。
ウ)走行中の携帯電話の使用
自動車走行中の携帯電話の使用等による罰則の強化は、道交法により平成16年11月1日より施行されましたが、現在も走行中に、片手に携帯電話を持って通話しながら自動車を運転しているドライバーをよく見かけことがあります。運転中に携帯電話を片手に持って画面を注視することはもちろんのこと、イヤホンマイクを使用した上での通話も注意散漫になることがあります。自動車走行中の携帯電話使用は事故に繋がりやすいので、使用は全面的に控えるべきです。
その他の禁止事項として、休日等私用で社用車を運転すること、業務に無関係な人の同乗などが挙げられます。

4)自動車の整備と点検および修理について
法定点検はもちろんですが、日頃から事故を未然に防止するために社用車の整備と点検は不可欠です。よって、社用車使用前後の点検業務を徹底し、整備不良が原因で事故を引き起こすことのないように整備と点検を徹底させます。また、定期的に社用車管理部門の担当者による整備状況の確認を行うなど、整備状況の確認に万全を期す体制は不可欠です。
さらに修理を要する場合は、修理を速やかに実施できるよう修理依頼の社内手続き方法、修理工場の指示、修理代の負担、修理期間中の代用車両の措置を定めます。

5)駐車場
ア)社外での業務中の駐車ならびに終業後の指定場所への駐車について
平成16年の道路交通法の改正により、違法駐車対策もより強化されることになり、従来、反則金の支払いは違法駐車をした運転者に対してのみ支払いを命じていましたが、今後運転者が支払わない場合は車両の使用者(車検証に記載されている管理者)に対して、放置違反金の納付命令が下されます。万が一、違反金を滞納した場合は、違反車両の車検は拒否されることになります。
上記は公布の日より2年以内に施行されますので、「違法駐車は社員個人の問題」として放置していたような場合は、その改善が急がれます。

6)直行直帰の際の社内手続きと自宅での社用車の保管について
社用車を私用で利用することを防止したり、車両の破損や事故を防止する意味で、社用車は会社指定の駐車場に保管した方が得策です。しかし、自宅から顧客先への直行もしくは、顧客先から自宅への直帰も業務上考えられる場合は、自宅での社用車に関する保管方法等の取り決めを周知することが必要です。
【社内手続き】
ア)社用車で帰宅する時は、会社へ届出書を提出して許可制とする。
その際、会社は自宅に持ち帰る必要性、期間、および保管場所を明確にして許可します。
【社用車の保管】
イ)社用車の路上駐車禁止
社用車の路上駐車は、付近の住民に迷惑を掛けるなどトラブルの要因にもなりかねません。特に会社名が入っている社用車が違法駐車をしている場合は、地域住民から会社のモラルが問われるなど、いくら本来の業務で顧客満足を目指していても、業務以外で会社に対する評判が落ちてしまうことになります。よって、自宅に保管場所がない場合は、自宅への社用車持ち帰りを禁止する規定が必要です。
駐車場を借り上げる必要性がある場合は、当該駐車場の契約手続き方法、場所、料金の負担方法等を明確にして、社用車の適切な保管を行います。
その他、自宅で社用車を保管する際には、私用もしくは第三者の利用を禁止する、盗難および破損には十分気をつけることなどが挙げられます。

7)交通事故の対処方法について
万が一、社用車で交通事故を起こした場合は、社員が心理的に動揺することも多いと思いますが、初動対応が大切です。
特に、社員が加害者となり負傷者が出た場合は、直ちに負傷者の救護、危険防止等の各措置、警察および会社への連絡など短時間の間にその場でしなければいけないこと、さらに事故後の会社への報告や手続きなどを予め定めておくと、いざという時に戸惑うことなく対処できます。

8)交通違反者に対する取り扱い、罰金および損害賠償の請求について
社用車の運転資格者は、交通法規を遵守することが前提条件となりますので、交通法規を違反した社員に対しては、違反の度合いに応じて、就業規則に制裁の種類を定めると共に社用車管理規程には、制裁の基準、罰金、科料または反則金を課金された際の支払い、損害賠償請求、会社からの求償等詳細を定め、交通法規に違反した社員は厳重に処分するという会社の姿勢を見せることが必要だと思います。

2.本件解決策のポイント
本件は、Q社の主力業務であるデリバリー販売で使用する社用車の貸与に関して、明確な基準がなかったことが大きな要因のひとつです。今回の罰金の支払いに関しては、社員が青空駐車をしたという過失はあるにせよ、Q社は社用車の管理について何ら対策を講じていなかったという会社側の落ち度もあることから、駐車違反に伴う違反金やそれに伴うレッカー移動料金などの諸費用の支払いは、社員と会社双方で負担し、裁判所に出向いた日の欠勤は年休の事後振替として取り扱うことがトラブル解決策の近道だと思われます。
また、営業社員の在社回数を現在よりも数を増やし、経営者をはじめ上司や同僚とのコミュニケーションを図っていくことも今後の改善策の課題として挙げられるでしょう。

利害関係者(ステークホルダー)のニーズに応える
企業に係る利害関係者は、顧客だけではなく社員、取引先、株主、地域社会とさまざまです。小さな綻びを何度も見過ごしてしまったために、これが大問題に発展し、企業の社会的責任を問われ、顧客の信頼を失墜した結果、会社の業績に大きな影響がでることも考えられます。先ずは、企業に係る利害関係者の声に耳を傾け、さまざまなニーズや問題点を把握し、それらを見過ごすことなく、一つひとつ解決していくことが、これからのQ社の課題であり、業績向上の手段なのではないかと思います。

税理士からのアドバイス(執筆:小中 昌幸)

社員が業務に関連して徴収された罰金、科料、および過料(以下、罰金等という)は、たとえ業務中の出来事が起因していたとしても罰則を効果的にするという意味合いから、個人で負担することが原則になります。

上記の趣旨から、罰金等を会社が社員に代わって支払った場合は、基本的に社員の給与として取り扱われることになります。しかし、業務が起因して発生した罰金に関しては会社側に責任がないともいえないことから、支払った罰金を社員の給与として取り扱わず、雑費もしくは租税公課として取り扱うことも認められています。この場合、法人税の計算を行う時点で罰金等相当額は損金不算入となり、罰金等相当額は法人税の課税対象になります。(法人税法第38条、法人税基本通達9-5-5)一方、会社が支払った罰金等相当額を社員の給与として取り扱った場合は、法人税の計算をする時点で損金算入として取り扱われます。社員の給与については、所得税の課税対象となります。
なお、駐車違反に伴って発生したレッカー移動料金や違反車両の保管料金については、罰金等とは性格が異なりますので、会社が負担した場合でも経費および損金として取り扱われます。

さらに、社員が業務中に起こした交通事故で、相手方に損害を与えた場合の損害賠償金を会社が支払った場合については、業務中かつ行為者に故意または重大な過失が無かった場合、給与以外の損金の額に算入できます。(法人税基本通達9-7-16(1))行為者が下記の重大な過失があったと判断されるケースに該当した場合は、特別な事情が無い限り重大な過失があったと判断され、損害賠償金を会社が社員に代わって支払った場合は、社員に対する債権として取り扱われます。(法人税基本通達9-7-16(2))しかし、社員の支払い能力等からみて求償できない場合は、全部または一部に相当する金額を貸し倒れとして損金処理することは可能です。(法人税基本通達9-7-17)また、貸し倒れ等とした金額のうち一部でも回収が確実であると認められる場合は、社員に対する給与として取り扱います。よって、会社が支払った金額でかつ回収可能な分は、社員の所得税課税対象となります。

●重大な過失があったと判断されるケース
1. 自動車の運転者が無免許運転、高速度運転、酒酔い運転、信号無視、その他道路交通法第4章第1節(運転者の義務)に著しく違反している場合。
2. 雇用者による超過積載指示、整備不良車両の運転指示、その他道路交通法第4章第3節(雇用者等の義務)に著しく違反している場合。

次に、自宅付近の駐車場代の負担についてですが、所得税法では給与所得者に対する通勤手当については、所得税法により一定金額の範囲内であれば非課税扱いとされています。(※所得税法第9条第1項第5号、所得税法施行令第20条の2)
しかし、社用車の貸与に伴う費用負担に関しては所得税法上、特別の定めはありません。給与を支給する際、社用車の駐車場代に相当する手当を給与と同時に支払う場合には、下記の要件を満たすことにより、駐車場代相当分の手当は所得税上非課税として取り扱われます。
(1)社用車貸与の対象者を主たる業務が外勤である営業社員に限定すること。
(2)社用車の使用目的をあくまでも業務上のみとすること。
(3)業務上、自宅から顧客先に出向きまた、顧客先から自宅に真っ直ぐ帰宅することの多い直行直帰の形態が多く、業務と通勤の区別が困難であるという理由を客観的に説明できること。
上記の要件を満たすことにより、社用車の駐車場料金は、販売費および一般管理費の賃借料もしくは地代家賃の経費として取り扱われます。 ※ 所得税法第9条第1項第5号、所得税法施行令第20条の2

通勤手当(通常の給与に加算して支給されるものに限ります。)や通勤用定期乗車券(これらに類する手当や乗車券を含みます。)は、次の区分に応じてそれぞれ1か月当たり次の金額までは課税されないことになっています。

 

区 分 課税されない金額
(1) 交通機関又は有料道路を利用している人に支給する通勤手当 1か月あたりの※1合理的な運賃等の額 (最高限度 100,000円)
(2) 自転車や自動車などの交通用具を使用している人に支給する通勤手当 片道の通勤距離 課税されない金額
45km以上 24,500円 運賃相当額が左記の金額を超える場合はその※2運賃相当額
最高限度100,000円
35km以上45km未満 20,900円
25km以上35km未満 16,100円
15km以上25km未満 11,300円
10km以上15km未満 6,500円
2km以上10km未満 4,100円
2km未満 全額課税
(3) 交通機関を利用している人に支給する通勤用定期乗車券 1か月あたりの合理的な運賃等の額 (最高限度 100,000円)
(4) 交通機関または有料道路を利用するほか交通用具も使用している人に支給する通勤手当や通勤用定期乗車券 1か月あたりの合理的な運賃等の額 と(2)の金額との合計額
(最高限度 100,000円)
(4) 交通機関または有料道路を利用するほか、交通用具も使用している人に支給する通勤手当や通勤用定期乗車券1か月あたりの合理的な運賃等の額と(2)の金額との合計額
(最高限度 100,000円)

※1 「合理的な運賃の額」とは、通勤のための運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤経路および方法による運賃または料金の額をいいます。新幹線を利用する場合は、特別特急料金は含まれますが、グリーン料金は含まれません。
※2 区分(2)の「運賃相当額」とは、交通用具を使用している人が交通機関を利用したとしたならば、負担することとなる1か月当たりの合理的な運賃等の額に相当する金額をいいます。

ファイナンシャルプランナーからのアドバイス(執筆:熊谷 たか子)

現在の会社の活動において自動車の存在は必要不可欠ですが、本件のようなサービス業でデリバリー販売を促進している会社の場合は、公共の道路を使用してさまざまな利益を得ているのですから、会社は率先して、交通事故や交通違反を防止するための対策をとっていくことが必要であり、それはまた社会に対して負わなければならない責任であると言えます。
そのためには、車の運転や管理に関する教育・指導を強化、各種の規定による業務上や業務外での責任の所在を明確にすることはもちろん、リスク管理の面からは、万が一の事故や違反に備え、社有車の任意保険にはしっかり加入しておくことが必要です。
会社の担当者は加入している「対人賠償保険」「対物賠償保険」「人身傷害補償保険」「搭乗者傷害保険」の保険金額を把握しているでしょうか。ここ数年間は自動車保険の更新を代理店に任せっぱなしにしてはいなかったでしょうか。
必要な保険はどれか、保険金額の増減は必要か、補償を限定して保険料を安くするか、弁護士費用特約をつけるか、自動車保険の自由化以降、新しいタイプの保険が次々と発売され、選択肢が拡大しています。

・「対物賠償保険」の保険金額が無制限ではなく、500万円、1,000万円という加入がまだ見受けられます。最近の道路上には高価なIT関係の施設物があり、万が一事故で破壊すると高額な賠償請求が想定されます。
「人身傷害補償保険」は社有車に同乗の社員はもちろん、他の車に搭乗中、または歩行中の事故でも対象となり、過失割合に関係なく全額の保険金が支払われるなど「搭乗者傷害保険」にはない特徴があります。保険料は高めですが、万が一の補償は充実したものとなるはずです。

以上のように、本件をきっかけにして、今後の保険の更新については内容をよく検討されることをおすすめいたします。

社会保険労務士の実務家集団・一般社団法人SRアップ21(理事長 岩城 猪一郎)が行う事業のひとつにSRネットサポートシステムがあります。SRネットは、それぞれの専門家の独立性を尊重しながら、社会保険労務士、弁護士、税理士が協力体制のもと、培った業務ノウハウと経験を駆使して依頼者を強力にサポートする総合コンサルタントグループです。
SRネットは、全国展開に向けて活動中です。


SRアップ21北海道 会長 安藤 壽建  /  本文執筆者 弁護士 木下 尊氏、社会保険労務士 菅田 真紀子、税理士 小中 昌幸、FP 熊谷 たか子



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